
ずっと、結婚してからも 病を得てからも この二人は こう呼び合った 「カントク」 「乙羽さん」 日本を代表する映画監督、新藤兼人著 そんな他人行儀な呼び方だったのに 愛妻記 そしてはるかに若い乙羽信子が先に逝ってしまう なにもかもが終わったあと さてコーヒーを飲もうとして彼はいきなり 愕然とする コーヒーはずっと乙羽さんが入れてくれるのを飲んでいた!のだ 自分はコーヒーも自分では入れられないのだと ここで あふれ出した 新藤監督はこないだ亡くなったけれど なぜか二人は幸せな人たちだったと強く思ってしまった、そんな本だった |