朝起きて気持ち良く晴れた日
仏のイトーと呼ばれている優しい性格の男子に
車を要請して何人かで鎌倉辺りの海に
出かけていた、若いころ。
彼女とのデートの時以外は
イトー君は断ることがなかった
いつも軽く笑っていた
いや、微笑んでいた
二学年ほど下の後輩だった
大人になって会っても全然変わらず
やっぱり少し微笑んでいた
真夏になるちょっと前、雨の合間の気持ちのいい日
訃報が届いた
「ホトケのイトーがホトケになっちゃった」と
哀しいギャグに思わず笑い泣き
あの微笑みごと逝ってしまったイトー君
しっかりものの奥さんである彼女からは
こんなに早く逝ってしまうとはイトー君も
思ってなかったはず、
もっと好きにさせてあげれば良かったと
優しい顔しか思い出せないとの手紙。
私もだ
怒ったところや不機嫌な顔やふつうの顔でさえ
想い出せないくらいだ
優しかった後輩の微笑む顔だけが思い出されて
涙があふれる
笑ってますますほそい目のイトー君に
また、しょうちゃんあたりで会えそうなそんな気がする
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