告別式 ご主人の挨拶 「2月のバレンタインにチョコレートと手紙をもらいました 来年のバレンタインにはもうあげられないかもしれないけれど・・・ って書いてありました」 そして、ご主人は 言い切った 「少し早いですが ホワイトデイのクッキーをお返ししようと持って来ました」 バレンタインの時、彼女から手紙を書いたと聞いていた 逝く覚悟はできたから、と さばさばした、むしろ穏やかな感じだった お葬式楽しみにしていてと、まるでパーティの計画みたいに楽しげに 言われてしまった時 私は泣き崩れてしまったけれど 泣いている私に 泣かせてごめんねとあやまってくれた そして お葬式をプロデュースしているからねと いたずらっ子の瞳で言ったんだった あなたのプロデュースは完璧だったよ でもご主人の早めのお返しはなかなかおしゃれだったね ご主人やるねと 心でつぶやいた 棺にお花を添えると クッキーと手紙があって でも、 その やっぱり その、 現実は厳しすぎて 泣くしかなかった 哀しすぎる 少し早めのホワイトデーだった |