
両親の晩年、三十代だった私は病院通いの日々だった 病院の喫茶店に行くのに2台の車椅子をひいていた エレベーターに乗る人たちに しげしげと顔を見られることもあった 「あなたって二人も面倒見ているの?」って書いてあった あはは、すいませんすいませんって エレベーターの開くを押してもらって2台の車椅子を押し込んでいた コーヒーを飲む両親は少しは幸せそうだったので まあまあ私も幸せだった 年をとってて、歩けなくて、ぼろぼろだったけど 幸せそうにしていた両親はえらいと思う 最晩年、足も片手も動かなくなって母は眼も見えなくなったけど それでも、コーヒーを飲む時 「美味しい、自分は幸せ」と言っていた 車椅子の人が電車で会社に通えるって いい社会になってきたんだなって私なら思う 双子の寝てしまったこどもを抱っこしてホームまでの 階段をあがっていた事を思い出すと ベビーカーで電車に乗る若いお母さんにも 良かったね!って私なら思う 寛大な気持ちは結局自分にも寛大にするって事だと思うから 甘く優しくしちゃう 来た道なんだよって思うから そしていつかは通る道なんだよって思うから |