幼馴染のNちゃんが泊まりに来てくれた 小学生のころ、入りびたりだった、Nちゃんち 木の上でおやつを食べていると 彼女のお母さん(いつもNちゃんのおばちゃんと呼んでいた) が「おほほ・・・」と笑っていたっけ
おととしNちゃんの家に泊まりに行った時も 末っ子ちゃんよく来たねと笑っていた 私達はあの頃のおばちゃんよりも大人になったのに あのころのお転婆な子どもをみるような 優しいまなざしだった Nちゃんは予定があったので、おばちゃんが朝ご飯の用意をしてくれた いきなりシンクにぐらりと身体をもたせかけて お椀を向こうの方に置いて よそおってくれた おばちゃんは 「こうしないと、もう、つげんとよ」と笑った
おばちゃんは9月、お風呂上りに倒れて それきり意識不明になった ある日、孫のSちゃんが来ると 涙が頬を伝わったと言う 意気消沈していたNちゃんも、これはきっとわかっているんだと 確信して声をかけ続けたと言う 話しかけると 何度も涙を流したと・・・。 でも、もの言わぬまま11月に亡くなった Nちゃんは淡々と言った 「それは辛い二ヶ月だったけれど お母さんは私にそれだけの猶予をプレゼントしてくたんだと思う 最後まで、本当に優しい人だったから」と
思い返してみても、Nちゃんのおばちゃんほど優しく 暖かい大人を知らない ちょうど、Nちゃんちのベランダから見える 九十九島の夕焼けのような美しい笑顔の人だった
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