次男の最後の試合
体育会ラクロス一部入れ替え戦 歴史も短い上智大学ラクロス部が ここまできたのだ 対明治学院大学
寒さの中雨も降り出し やがて、どしゃぶりになった シーソーゲームの中 痙攣を起こしベンチに戻って倒れこむものあり 悲壮な試合になってきた ふいに、何か糸が切れたように 続けざまに点を入れられた
笛が鳴って 試合が終わった
選手たちは応援席に来て 挨拶しようとしたけれど 次男は泣き崩れてしまった チームメイトが肩をたたき 立ち上がり 「応援ありがとうございました」と搾り出した 大きな大きな拍手が起きた
選手たちは雨だか涙だかにぬれて それでも次からこぼれる涙をぬぐおうともしない しばらく立ち上がれない次男の所に選手たちが肩をたたきにくる 重い足をひきずって選手たちは引き上げる 座り込んだ次男に先輩たちが集まってきて やっと立ち上がった 雨は降り続き 涙は止まらない 悔しさなのか、寂しさなのか
私の涙は 感動の涙だった 朝5時に起きて暗い中、朝練に出かけていた 学生生活のすべてをラクロスにかけてきた そして最後の試合には負けたけれど、そこで悔しさの涙を出している その次男の姿に感動してしまった
先輩たちと後輩たちはどしゃぶりの雨の中 声をからして応援していた その応援には優しさがこもっていた ぴょんぴょんと小さく飛びながら応援歌を歌い続ける後輩たち ドンマイと声をかけ、時には叱り時にはほめて力の限り声を出し続ける先輩たち こんな環境にいたんだなあと 彼の幸せな環境に感謝した 負けたけれど、幸せだった、 負けたけれど、充実していた 負けたけれど、宝物を手に入れた チームメイト、先輩、後輩、コーチ きっと電車の中から見たであろうたくさんの美しい朝焼け
そして一番の宝物は想い出・・・
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